第4回 邪魔する者と助ける者について(全7片)
1 僕曰く:「今落ち込んでいる。ある企業から仕事を手伝ってくれと頼まれたが、始めた途端にある連中から『あいつを辞めさせろ』とのクレームが入りご破算になった。過去にも同じようなことが何度もあった。俺は社会的評判が悪いようだ。言う方も言う方だが、態度を翻す経営者はもっと情けない。」
2 友人O:「ははは。お前のことを邪魔する奴は、人間じゃなく妖怪なんだよ。一々対処してもエネルギーを消費するだけさ。彼らは、お前を怒らせ、落ち込ませるのが役目なんだ。 妖怪に囲まれたときは無視するのが正解だよ。」 僕:「そんな人間じゃない奴がその辺にごろごろしてるってことかい?」
3 友人O:「そうだ。世の中ですれ違う人の約半分は人間だが、残りの半数は非人間なんだ。八百万の神とか魑魅魍魎の類さ。非人間もいくつかのタイプに分けれらるんだけど、今回のは妖怪だな。逆に、お前が困っているときに急に現れて、手を差し伸べてくれる奴もいるだろう?」 僕:「いるいる。」
4 友人O:「そいつは盟友って言うんだよ。盟友はあまり数がいない。同じ奴がいろいろな姿形をして繰り返しお前を助けている。その辺の通行人だったり店員だったり。普段はお前が見えないところで助けているが、時々は面と向かって助けることもある。盟友に出会ったら分かるはずだ。感謝しろよ。」
5 僕:「確かに人生の節目節目でいつも誰かに助けられているような気がするよ。運がいいというか。」 友人O:「モデル化が重要なんだ。助けられたり足を引っ張られる度に、一々喜んだり悲しんでも、成長しないだろ?一般化して教訓にすべきなのさ。」 僕:「その盟友モデルだと今の俺の状態は?」
6 友人O:「今お前が落ち込んでいるのは、目の前の事実だけに捕らわれ、局所解に陥っているせいさ。ビー玉が坂を転がり落ちる途中で、小さな窪みに嵌り込んだようなものだな。もっと大きな視点で見ろ。お前は悪い人間でもなければ、皆に嫌われてもいない。妖怪なんて一切無視すればいいのさ。」
7 僕:「ありがとよ。でも、もがいてもしばらく抜け出せそうにないよ。」 友人O:「局所解から抜け出すには振動を与える必要がある。信頼できる人に会い、感動して、自分の心を振動させるんだよ。そのうちまた盟友も助けてくれるさ。必要なときに必ず来てくれるとは限らないけどね。」 僕「…」